おとぎ話から飛び出してきたような都市タリン [30カ国目: Estonia]

先日、ロシアでレースの下着が禁止されるらしいというニュースが流れているのを見つけました。

きりがないので、そろそろエストニアの話を。

エストニアの首都タリンは、中世のおとぎ話からそのまま飛び出してきたような都市で、街そのものが世界遺産に登録されています。

 
中世のおとぎ話にでてくるような街並み

ジブリの登場人物のような、アンティークショップIDLAの店主。ここで私も友人も散財することに。


アンティークショップIDLAはこちら。 指輪が本当にかわいかった!財源不足で買えなかったので、またお金をためて戻りたいです。


自虐ネタが豊富なタリン観光ツアー

 街並みの美しさもさることながら、面白かったのはタリン散策ツアーのお姉さんの自虐っぷり。
ツアーは毎日12時から開始で、無料なうえに事前予約不要。
観光案内所の前で待っているとわらわら人が集まってきました。

ヨーロッパ諸国をはじめ、アメリカ、インド、タジキスタン、果てはブラジルまで、約20ヶ国の人が参加していました。インターナショナル!


NPOで運営されているタリン散策ツアー。お姉さんは政治専攻の大学生。自虐ネタがかなりおもしろい。




エストニアの人口は現在130万人と、京都とほぼ同規模。中世より港湾都市として栄え、自然が豊かで、小さいけれど美しい国です。

しかし、ロシアやポーランドやフィンランドといった大国に挟まれ、侵略されたり、譲渡されたり、無条件降伏したり、という順風満帆ではない歴史があります。

豊かな地理環境に囲まれ、商売で栄えながらも他国に侵されてきた歴史のせいか、エストニア人は自国のことを誇りに思っている一方、自虐ネタが好きなようです。



以下、ツアーのお姉さんのエストニア解説から抜粋した国旗の色の話、モニュメントの話、そして世界一高いトイレの話。



Story 1. 国旗の色

エストニアは国旗に黒が入っている珍しい国。他に黒が入っている国は、ドイツ、エジプト、など。
この黒は大地の色、決してブラックな国民性を表しているのではない、とお姉さん談。


大地の色のほかに、暗黒時代を忘れない、という思いも込められているらしいです。



 Wikipedia Estonia
青はエストニアの空・湖・海。黒は大地と暗黒時代の歴史を忘れまいとする決意。
白は雪および人々の幸福の追求を意味する。

















国旗同じ色のまま、言語的にも文化的にも近い、スカンジナビア十字に変更する案もあったようです。

(変更案)

Estonian alternative flag proposal.svg   Estonian alternative flag proposal2.svg



やや脱線しますが、日本の国旗も同様に世界的には珍しい色である「黒」を使おうとしてことがあり、それは徳川家で使われていた中黒模様だったらしいです。これはこれでシンプル、素敵です。

 Wikipedia 日本の国旗
徳川斉昭は、「大中黒は一氏族の印だが日の丸は歴史的に日本が使用してきた印
であるから、日の丸を使おう」と進言したといわれている。
















Story 2. モニュメント

大国からの侵略や、様々な歴史の変遷を経て、ようやく1991年に独立回復を宣言したエストニア。

独立を祝し、「みんなが集まれる広場を作り、その広場に精神的拠り所となるようなモニュメントを作ろう」ということになりました。

元々駐車場だった場所を、駐車場を地下に移転させて広場にしました。

さらに公募の結果できあがったモニュメントがこちら。




遠くからでも祖国を尊えるよう、背は高めの仕上がりです。
公募の末決定したデザインなのに、国民は気に入らないと不満爆発。反対署名を集めるほどだったそうです。

"But Estonia nevertheless needed a new symbol. For better or worse, the bishop of Estonia’s Lutheran church was put in charge of selecting from 40 entries and settled on a 77-foot-high “Cross of Liberty,” built out of 143 glass panels illuminated by LED lighting.Unsurprisingly, the structure polarized Tallinn’s citizens, and a new monument controversy was born. Tamm, for one, helped organize a petition to oppose the monument that gathered hundreds of signatures. Most who signed simply deemed the cross “an aesthetic failure.” A few went further, criticizing the statue for its supposed resemblance to the Nazi Iron Cross. Nonetheless, after a number of technical difficulties and eight million euros expended, the monument was unveiled in 2009. Since then, water damage has taken out the lights from time to time and dust has caused the white glass to turn pink. But on a good day, it shimmers against the backdrop of Harjumägi Hill and has become a meeting place for throngs of young Estonians looking to relax in the attached park."

反対理由は、

・鉤十字(ナチスのマーク)のように見える
・信仰心の薄い国民性なのに、なぜ十字マークなのか納得できない

などなど色々あるようですが、一番の不満は建設費用が高すぎたこと。

このモニュメントを作るのに、な、なんと、800万ユーロ(約12億円)も使ってしまったそうです。

統一祈念のモニュメント、ぜったいに壊れたり倒れたりしないよう、
核戦争が起きても壊れないよう丈夫で、かつ美しいガラス素材を使ったら、
コストがかかりすぎてしまったと。

うーん、ちょっと、12億円には見えないですね…。


Story 3. エストニア1高いトイレ

他にもタリンにある高いものと言えば、こちらのトイレだそうで。

ソビエト連邦占領時に作られたもので、素材は黒大理石。 エストニアで最も使用料の高い公衆トイレに住民の不満は爆発したとのこと。

ソ連から独立直後、エストニア政府は公衆トイレの整備にかなりの お金を使ったらしいです


 The most expensive public toilet. Tallinn, Estonia


エストニアがソ連から独立できたのは1991年と、比較的最近のこと。

タリンにある、KGB( КГБ, ソ連国家保安委員会, 米国で言うCIA, つまりスパイ組織)の隠れ家なども見学もしてきたので、その辺りはまた次回。